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前:11.ピッチ調整(ポルタメント・ビブラート等の歌声の表情付け)について
12.Mode2機能について
12−7.Mode2で設定したピッチ曲線を従来のピッチエディタでさらに編集するには
Mode2とは、ポルタメントやビブラート等のピッチ調整を自動化することを目的に、UTAUVer0.2.40以降に搭載された機能です。(正式名はUTAU Autopitch Mode2)
メイン画面右上の「Mode2」ボタンが押し込まれた状態の時にMode2機能が働きます。「Mode2」ボタンが押し込まれていない状態の時は「Mode1」と呼ばれ、従来のピッチエディタを使ってピッチ調整を行います。 参考→ 11.ピッチ調整(ポルタメント・ビブラート等の歌声の表情付け)について
設定画面にて簡単な初期設定を行うだけで、自動的にポルタメントとビブラートを設定できるだけでなく、従来はピッチエディタ画面を開いて行っていた、プリパレーションやオーバーシュート等の細かいピッチ調整をすべてメインの音符表示画面上で行う事ができるのが特徴です。
※原音に連続音を使用する場合は、音のつながりを滑らかにする為に、ポルタメントの設定をMode2で行う事を推奨しています。
注意 バージョンの違いによりMode2機能の操作方法や効果が一部異なる場合がありますのでご注意ください。
1.メイン画面右上の「Mode2」ボタンが押し込まれた状態になっている事を確認してください。押されていない場合は必ず押して下さい。
2.Mode2設定を行いたい音符を1つ、または複数選択してください。
3.メニューの「編集」→「選択範囲」→「ピッチエディタ」を選択するか、Ctrl+Tキーを押すと「ピッチコントロール(Mode2)」画面が開きます。写真右下の(4)の様に、音符を右クリックして、「ピッチ」を選択して開く事もできます。
注意 「Mode2」ボタンが押されていない場合は、従来のピッチエディタ画面が開きます。 参考→ 11−1.ピッチエディタを使ってピッチベンドを調整するには
設定画面で調整する方法
※各設定が終わったら、「OK」ボタンを押して設定画面を閉じると設定が確定されます。設定をやめたい場合は「キャンセル」ボタンを押して設定画面を閉じて下さい。
番号 | 機能の名称 | 機能の内容説明 |
---|---|---|
1 |
チェックボックス |
チェックを外すとポルタメントが無効になります。(デフォルトではチェックは付いています) |
2 |
プリセット設定 |
プルダウンメニューより、ポルタメントのタイミング3段階(中央・早い・遅い)と、ポルタメントの長さ3段階(50・100・200ミリ秒)の組み合わせ(合計9種類)から選択できます。ただし、複数の音符を選択して一度に設定した場合は、前の音符との音程の差を考慮して適切な値が自動的に計算・設定される為、実際に設定される値はプルダウンメニューで選択した値とは多少異なります。実際の設定値は(3)のカスタム設定欄に表示されます。 |
3 | カスタム設定 |
数値を直接入力、またはスライドバーを左右へドラッグする事によって、ポルタメントの長さとタイミングをミリ秒単位で任意に設定できます。プリセット設定と同様に、複数の音符を選択して一度に設定した場合は、前の音符との音程の差を考慮して適切な値が自動的に計算・設定される為、実際に設定される値は入力した値とは多少異なります。 |
4 |
可動点を増やす |
デフォルトでは、メイン画面上のポルタメントの可動点は始点と終点の2つですが、プルダウンメニューで可動点を増やして、メイン画面上で可動点をドラッグする事により、プリパレーション(ポルタメントが始まる前に一旦音程が下がる調整)やオーバーシュート(ポルタメントが終わる直前に音程の高さが音符を超える調整)等のピッチ変動による声の表情付けを行う事ができます。 |
5 | 既定値反映ボタン | このボタンを押すと現在の設定値をデフォルトの設定値に反映させる事ができます。参考→ 12−6.Mode2の設定初期値を変更するには |
メイン画面上でピッチ曲線を調整する方法
1.メニューの「表示」→「曲線を表示」を選択するか、F4キーまたはメイン画面左下の「〜」ボタンを押して、メイン画面上にピッチ曲線を表示するモードにします。
2.ピッチ曲線を見やすくするため、「横方向へ拡大ボタン」及び「縦方向へ拡大ボタン」を数回押して、音符を拡大表示させます。
※「横方向へ拡大ボタン」は、最大拡大表示時にグレーアウトで表示されます。
3.音符を1つだけ選択すると、選択した音符とその前の音符の間にかかるポルタメント曲線の始点と終点が表示されますので、始点及び終点にカーソルを合わせて左右にドラッグして動かして、ポルタメントの始まりと終わりのタイミングを調整することができます。
※ポルタメント曲線の始点と終点を動かせる範囲は、前の音符の開始から該当の音符の終了までです。下写真の音符Aの様に始点及び終点を両方とも前の音符に移動したり、音符Cの様に選択した音符に移動させる事は可能ですが、終点を始点よりも前に移動させる事はできません。
※音程(縦方向)の位置は、始点は前の音符の音程、終点は選択した音符の音程の位置に固定されます。
※該当の音符と後ろの音符のポルタメント曲線が重複・交差するような配置も可能ですが、Ver0.2.61以降では両方の曲線が合算され、短絡曲線で結んだ状態(灰色の曲線)で繋がり、レンダリングされます。(Ver0.2.49以前のバージョンでは後方の曲線が優先されます)
参考→ UTAUについて 8.ポルタメントは手前の音符の分も合算 それは仕様です
※直前に休符が置かれている音符の場合は、休符の置かれている音程の位置に関わらず、ポルタメントの始点の位置を音程(縦方向)へ自由にドラッグして移動させることができます。また、始点を休符の位置の範囲内で横方向へ移動させることができます。(始点を選択した音符まで移動させると、縦方向の位置が強制的に選択した音符の高さに移動させられ、ポルタメントが無効になります)また、終点に関しては、休符の位置へ移動させる事はできますが、ポルタメントの効果はなくなります。
※ポルタメント曲線の終点を右クリックすると、ポルタメント曲線の形状を「S型」、「直線」、「R型」、「J型の」4種類の中から選択して変更することができます。(デフォルトでは「S型」に設定されています)
Mode2では、ピッチの可動点を増やすことにより、プリパレーションやオーバーシュート等の細かいピッチ調整をメインの音符表示画面上で行う事ができます。
ピッチ可動点の増やし方
Ver0.2.61以降であれば、メイン画面上のピッチ曲線の始点または終点を右クリックして「点を増やす」を選択すると、可動点を1つずつ増やすことができます。(下の写真では右寄に点が追加されていますが、Ver0.2.70以降では右クリックした点とその右隣の点の中間の位置に追加されます。ただし左側が休符Rの場合は追加された点が選択した音符の高さまで移動します)
点を右クリックして「点を減らす」を選択して減らすことも可能です。(Ver0.2.49以前の場合は、下記の方法にて設定画面より増減可能)
※ピッチ可動点を右クリックして「設定」を選択して設定画面を開き、プルダウンで任意の数に点を増減する事もできます。(プルダウンメニューには6個までしか表示されませんが、プルダウンメニューに数を直接入力する事によって、最大50個まで増やす事が可能です)
※設定画面の「配置を均等化」にチェックを入れると、点を等間隔に配置する事ができます。
追加した可動点は音程(縦)方向と(両隣の点の間の範囲で)横方向へ自由にドラッグして動かす事ができます。プリパレーション(ポルタメントが始まる前に一旦音程が下がる調整)やオーバーシュート(ポルタメントが終わる直前に音程の高さが音符を超える調整)などの細かいピッチ調整に活用して下さい。
Mode2では、ビブラートについても設定画面での数値入力による調整だけでなく、メイン画面上でも魚雷の様なコントローラを使って直感的に調整することができます。
※ビブラート設定画面はポルタメント曲線の設定画面と一緒の画面になっています。
設定画面の開き方→ 12−2.Mode2設定画面を開くには
メイン画面上のビブラートコントローラを表示させる方法
1.メイン画面左下の「〜」ボタンを押す等して、メイン画面上にピッチ曲線を表示するモードにします。
2.ビブラートを調整したい音符を1つだけ選択して下さい。ビブラートの波形及びコントローラが表示されない場合は、設定画面を開いて「ビブラート」にチェックを入れてください。
Mode2で可能なビブラート調整機能の一覧 (左下の設定画面と右下のビブラートコントローラにそれぞれ番号を付けて対比させています)
※設定画面上で各設定が終わったら、「OK」ボタンを押して画面を閉じると設定が確定されます。設定をやめたい場合は「キャンセル」ボタンを押して設定画面を閉じて下さい。
番号 | 機能の名称 | 機能の内容説明 |
---|---|---|
1 |
チェックボックス |
チェックを付けるとビブラートが有効になり、チェックを外すとビブラートを解除できます。 |
2 |
長さ |
設定画面上で音符の長さに対するビブラートの長さを%単位で調整できます。 |
3 | 周期 |
設定画面上で周期をミリ秒単位で調整できます。 |
4 |
深さ |
設定画面上で深さをcent単位で調整できます。 |
5 | 入 |
設定画面上でビブラートの増幅が始まってから、深さが設定値に達するまでの長さを%単位で調整できます。 |
6 |
出 |
設定画面上でビブラートの減退が始まってから、収束に達するまでの長さを%単位で調整できます。 |
7 | 位相 |
設定画面上で位相(ビブラートの波形をどのような状態から開始させるか)を%単位で調整できます。 |
8 | 高さ |
設定画面上でビブラートの波形全体の音程の高さを%単位で上下にずらして調整できます。ただし、ビブラートの開始地点と終了地点の音程の高さは変わりません。 |
9 |
プリセット設定 |
深さを「デフォルト」、「深め」、「浅め」の三種類から選択できます。他の設定はそれぞれ適切な値が設定されます。 |
10 | 除外設定 | 音符を複数選択してビブラートを設定する場合に、一定の音符の長さ(例えば四分音符や八分音符等)に達していない音符にビブラートが付かないように除外する設定ができます。 除外条件になる音符の長さはプルダウンメニューで選択可能。(除外条件が以下または未満も選択可能) |
11 | 既定値反映ボタン | このボタンを押すと現在の設定値をデフォルトの設定値に反映させる事ができます。参考→ 12−6.Mode2の設定初期値を変更するには |
メニューの「ツール」→「音符のデフォルト」→「ピッチコントロール」を選択して、「ピッチコントロールのデフォルト値」画面を開き、Mode2のデフォルト設定値を設定する事ができます。
※Mode2設定画面の「既定値にする」ボタンを押すと、現在開いている設定画面の設定値をデフォルト設定値に反映させることができます。(ポルタメントとビブラートのそれぞれに「既定値にする」ボタンが付いているので、片方のみを反映させることも可能)
12−7.Mode2で設定したピッチ曲線を従来のピッチエディタでさらに編集するには
(1)の「Mode2」ボタンが押されている状態で、(2)の「Trace」ボタンを押すと、従来(Mode1)のピッチエディタのピッチ曲線が表示されます。これにより従来(Mode1)のピッチエディタで調整されたustファイルのピッチ曲線をMode2のピッチ曲線でトレースする事ができます。
さらに、2の「Trace」ボタンが押されている状態で、3の「Render」ボタンを押すと、Mode1のピッチエディタにMode2で調整したピッチ曲線が引渡されるので、(1)の「Mode2」ボタンを押し込まれていない状態にしてからピッチエディタ画面を開く事により、さらに細かくピッチ曲線を編集する事ができるようになります。
参照→ 11−1.ピッチエディタを使ってピッチベンドを調整するには
次:13.音程別ファイルの使い分け機能(prefixmap・SurffixBroker)について
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